ぼくのビスクドール 「…っん…ふっ…」 深く、深く。 彼の全てを奪いとるように。 この先ずっと、離れられないように。 彼の身体に、心に、刻み付けて。 唇を離すと彼と僕を繋ぐ銀色の糸。 それが切れた瞬間、焦燥感が募って。 顔も見ずに立ち上がり、彼に背を向けた。 「早く、行きますよ…」 振り返りはしない。 そんなの、俺らしくないから。 「曽良、くん…」 彼の声がここに立ち止まらせようとしたけれど。 僕はそのまま歩き出す。 「ま、待って…!」 追いかけてくる彼を背中で感じて。 彼が生きていることを実感する。 彼は何も言わないから。 僕に何されたって黙って受け入れる。 まるで人形のように。 瞳には何も映らない。 チラリと盗み見た彼。 大事そうに抱えた人形。 憎らしくて、壊したくて。 彼ごと捕まえて燃やしてしまおうか。 腕の中で動かない彼を想像して、笑った。 |
010:ぼくのビスクドール/ギャグマンガ日和:曽良×芭蕉 弟子×師匠の王道ですよね!ドSの弟子にMの師匠ですから! 笑み一つこぼさないで責めて欲しいですなぁ。 '06.09.20 執筆 |